2~3月頃によく見るようになり、寒い地域では4~5月に収穫される「ふきのとう」。
一方「ふき」は3月~5月にかけて旬と言われています。
どちらも「ふき」という名前がついていますが、果たして同じものなのでしょうか?
調べてみたところ、これらにはユニークな特性があることが明らかになりました。
そこで、今回は以下の点について解説します。
●「ふきのとう」と「ふき」の違いとは何か?同じものなのか?
●フキノトウはどのように成長していくのか?
●料理をするときに必要な注意点は何か?
それでは見ていきましょう。
「ふきのとう」と「ふき」は違う植物?同じ植物?
「ふき」と「ふきのとう」は、どちらもキク科の多年生植物で、同一の植物に関連していますが、一方が他方へ成長するわけではないのです。
「フキ」と「フキノトウ」という名前が似ているため、フキノトウが成長してフキになると思いがちではないでしょうか?
例えば、これらの植物を漢字で表現すると、「蕗(フキ)」と「蕗の薹(フキノトウ)」となります。
「薹」の字は馴染みが薄いかもしれませんが、アブラナやフキなどの花軸・花茎を指すのです。
つまり、フキノトウとはフキの花茎の部分を指すのです。
花茎は花だけを生じる茎で、フキノトウはフキの花そのものなのです。
しかし、それではフキはあらかじめフキノトウから出現するのではないかと思ってしまいそうです。 しかし、フキには地下茎が存在し、花と葉はそれぞれ地下茎に接続しているのです。
説明が若干複雑ですが、同じ茎から花の芽と葉の芽が時間をずらして出現し、地表に姿を現します。
芽が出る期間が異なるため、フキノトウが成長してフキになると考えるのは自然な結論です。
一般的に、葉の出現の後に花が咲くと思われがちですが、フキは花が咲いた後に葉が成長するのです。
「ふきのとう」と「ふき」の旬はいつ?
「ふきのとう」は2~3月頃。
「ふき」は3月~5月頃が旬と言われています。
フキノトウは最初に地上に現れ、続いて地下の茎から小さな葉が育ちます。
そして、花が全て咲いて終わる頃には、葉は地表にまで達し、しっかりと成長します。
一見、フキは長い茎のようにも見えますが、実際には、広い葉と地下茎を繋ぐ役割を果たす葉の一部なのです。
「ふきのとう」「ふき」料理や食べる時に注意する事は?
フキとフキノトウを料理の材料としてお使いになることはご存じだと思いますが、その美味しさを最大限に引き出すには旬の時期が一番です。
旬を過ぎてしまうと、おいしくいただくのは難しくなります。
●ふきのとう
「薹が立つ」という表現を聞いた事がある方もいるかもしれません。
これは野菜の花茎が成長しすぎ、食べ頃を逃してしまった状態を指しています。
フキノトウは多くの小さなつぼみがガクに包まれた形状をしています。
つぼみが開き花が咲いてしまうと苦みが強くなるため、つぼみがまだしっかりと閉じているものを選ぶとよいでしょう。
●ふき
一方、ふきは独特な香りや苦みがあります。そのため、そのまま食べることは難しいでしょう。
充分な下ごしらえが必要となります。
中でも『あく抜き』は非常に重要な調理過程になりますので、数回お湯を入れ替えながら茹で、水にさらすのは忘れないようにしましょう。
まとめ
「ふきのとう」と「ふき」は同じ植物を表し、「ふきの花」が「ふきのとう」のことを指します。
しかし、ふきのとうが成長する事によって「ふき」になるわけではありません。
それぞれの芽や葉は同じ茎の異なる部分から現れます。少しややこしいですね。
どちらも旬の時期に食べたい植物なのでぜひ参考にしてみてください。