家の中でゲジゲジに遭遇すると、誰もが一度はぎょっとした経験があるでしょう。
多くの長い足を持つ彼らの外見は、初見ではかなりの不気味さを感じさせます。
ゲジゲジは、ムカデ目ゲジ科の節足動物で、体長2~8cmの細長い体に15対の足を持ち、夜行性の捕食者です。普段は小さな昆虫を食べて生活しています。
家の中で彼らを見かけると、こんな心配が頭をよぎるかもしれません:
繁殖している可能性は?
どのように対応すればいいのか?
実は、ゲジゲジは基本的に単独で行動する生き物なので、一匹見かけたからといって過度に心配する必要はありません。
ただし、彼らは湿度が高く暗い場所を好むため、床下などに巣を作ることも。そのため、家に現れる主な理由は以下のとおりです
●単独で活動する習性
●食べ物を求めて室内に侵入
●益虫としてゴキブリなどの害虫を食べる
●繁殖地は湿度が高く暗い場所
では、ゲジゲジがどうして家に入ってくるのか、その詳細を探ってみましょう。
ゲジゲジは一匹だけ?実は群れでいることは少ない?
ゲジゲジの見た目はとても不快ですが、家の中で一匹見つけたとしても、必ずしも他にも多数いるわけではありません。
彼らは主に外部から隙間を通じて家に侵入し、食べ物を探して単独で行動することが多いのです。どのような食べ物を求めているのかは後で詳しく説明します。
また、ゲジゲジがペアで行動するという噂もありますが、これは一般的ではなく、彼らはほとんどの場合単独で行動しています。
どのような経路でゲジゲジは家に入るのか?
ゲジゲジが家の中に姿を見せるのは、外部からの侵入が主な原因です。特に湿度が高く薄暗い場所、例えば床下や軒下、庭などから入ることが多いようです。
これらの生物は、通常、湿度の高い暗い土壌に接するような場所を好んで住処や繁殖地とします。
現代の家の床下は換気がよく、乾燥しており、コンクリートで固められていることもあるため、そういった場所での繁殖は少ないでしょう。
しかし、年代物の家や伝統的な建造物では、湿気が多く土が露出している床下など、ゲジゲジが住み着く可能性のある環境がまだ残っています。
床下の状態が気になる場合は、例えばキッチンにある床下収納を開いてみれば、床下の様子を直接確認することができるでしょう。
室内にゲジゲジが現れる背景
外では見かけてもあまり問題ではないゲジゲジですが、家の中で見つけると話は別です。その主な理由は、ゲジゲジの食性にあります。
肉食性のゲジゲジは、ムカデと同様に他の昆虫を捕食します。彼らの好む食事の場所は、石の下や草むら、家の暗く湿った床下などです。
食べる対象はゴキブリ、カマドウマ、クモ、ダンゴムシ、ナンキンムシなど多岐にわたります。
ですから、家の中でゲジゲジを見かけた場合、彼らの餌となる他の虫がその場所に存在している可能性があります。
家庭に潜むゲジゲジ、その真の姿と対応策
家に潜むゲジゲジは実は、ゴキブリや他の小さな虫を捕食してくれる有益な存在【益虫】です。彼らはこれらの害虫を探して家に侵入することがあります。
益虫とは、人間の生活にプラスの影響を与える虫のことで、クモ、ミツバチ、トンボ、ミミズなどがこれに該当します。
特に、梅雨の時期にゴキブリが繁殖しやすくなる6月頃には、ゲジゲジが室内に入り込んでゴキブリの幼虫を食べることもあります。
その長い脚で広範囲に移動するゲジゲジは、室内で繁殖するよりも外部の湿度の高い暗い場所を好むため、家の中で見かけることは少ないです。
特に水回りの場所はゲジゲジの餌となりやすいので、清潔に保つことが重要です。
ゲジゲジの意外な真実:名称から生態まで
一見不気味なゲジゲジですが、その名前や生態にはあまり知られていない面が多くあります。
ここでは、その正式名称や特徴、どこに生息し、どのような習性を持つのかを詳しく見ていきましょう。
「ゲジゲジ」の正式な名前
一般的には「ゲジゲジ」と呼ばれていますが、実際のところ彼らの正式な名称は「ゲジ」です。
意外かもしれませんが、ゲジゲジはその数多くの足を持つ姿からムカデと関連が深い生き物です。
ゲジゲジの隠された生態
ゲジゲジのあまり知られていない生態は以下のようになっています:
●全国各地、北海道から九州、南西諸島に至るまで幅広く生息しています。
●体長は約2~4cmで、15対の脚を持ち、非常に素早い動きが可能です。
●約1000個の小さな個眼を持ち、暗い場所でも活動できます。また、体の背面には呼吸のための気門が並んでいます。
●主に夜行性で、湿度の高い場所を好みます。広い範囲を移動し、冬は洞窟などで群れをなして越冬します。
●食性はムカデと同じく肉食性で、小さな昆虫を主食としています。
●活動期間は3月から12月までで、特に6月から9月にかけて活発になります。平均寿命は約5年で、成長するにつれて15回以上脱皮します。
テレビでよく見かける洞窟探検などでのゲジゲジの大群は、これらの生態的特徴の一端を表しています。
ゲジゲジのメスは6月から11月にかけて、一度に約100個の卵を土中に産みます。家の中でゲジゲジを頻繁に見かける場合は、湿度が高く暗い場所が多いことが原因かもしれませんので、浴室、トイレ、台所、玄関などを確認してみてください。
ゲジとムカデ、それぞれの特性と見分け方
ゲジは厳密にはムカデ類に分類されますが、その細長い足と触角のために一見すると全く異なる生物に見えることがあります。
生態的にはムカデと大きな違いはありませんが、特に足の長さが両者の間の顕著な差です。
●体長
ゲジゲジは2~4センチに対し、ムカデは4ミリ~30センチとムカデは大型の種類も存在します。
●食性
ゲジゲジ・ムカデは同様に肉食性で昆虫などを餌としています。
●色
ゲジゲジは褐色でまだら模様なのに対し、ムカデは黄・赤・茶色と多種にわたります。
●脚の長さ
ゲジゲジは短く、ムカデは長い脚なのでパっと見分けるのに分かりやすいポイントです。
●脚の数
ゲジゲジは15対なのに対し、ムカデは21対以上と双方多くの脚を持っています。
●毒性
双方とも毒性はあるものの、ゲジゲジは毒の影響が少ない傾向にあります。
一方でムカデは毒性の強い個体も存在しているので注意が必要です。
ゲジはムカデの仲間として分類されてはいるものの、その外見はかなり異なります。
どちらも不快な虫として敬遠されがちですが、実は両者ともに害虫を捕食する益虫としての側面を持っています。
家庭でのゲジ対策:効果的な5つの方法
ゲジは家庭内の害虫を駆除する役立つ存在ですが、その見た目のために退治を望む方も少なくありません。
ここでは、ゲジを退治する5つの方法を紹介します。
殺虫剤を利用
一般的な殺虫剤やムカデ専用の駆除剤はゲジにも有効です。
床下などを一掃する際には殺虫噴霧剤の使用をお勧めします。
粘着トラップを設置
ゲジはゴキブリホイホイなどの一般的な粘着シートで捕獲できます。
ゲジが頻繁に出現する場所に置くと良いでしょう。
忌避剤を使用
ゲジが外部から侵入してくる場合、家の周囲や軒下に忌避剤を撒くことで侵入を防ぐことができます。
侵入経路を塞ぐ
床下や外部からの侵入口を発見し、それを塞ぐことも有効な対策の一つです。しかし、ゲジは小さな隙間からも侵入可能なので、発見は容易ではありません。
主に湿度が高く暗い場所を好むゲジは、特に玄関、風呂場、洗面所、台所などに出没しやすいので、これらの場所の点検を念入りに行ってください。
餌となる害虫の駆除
家に出現するゲジゲジは、彼らの主食であるゴキブリやその他の害虫を減らすことで出没率を下げることが可能です。
ゲジゲジを直接退治すると、結果として他の害虫が増える恐れがあるため、間接的な対応策が望ましいとされています。
国によって異なるゲジゲジへの認識
日本ではゲジゲジの見た目が多くの人に不快感を与える一方、海外では異なる価値観が存在する場合があります。
例えば韓国では、ゲジゲジは「グリマ」と呼ばれ、「金虫(トン・ポルレ)」とも称され、殺さないようにとされています。これは「お金の虫」という意味を持ち、縁起が良いとされているからです。
その理由は、過去に暖かい家にゲジゲジが現れることが、その家が裕福である証とされていたためです。寒い冬に温かい家は稀で、そこにゲジゲジが出現すると富の前触れと見なされたのです。
日本では想像しにくいかもしれませんが、文化によって同じ生物に対する解釈は大きく変わります。
ゲジゲジが益虫であるという事実から、それを吉兆と捉えることもできるでしょう。可能であれば、家に出現したゲジゲジを傷つけずに外に逃がしてあげるのが理想的です。
まとめ
家にゲジゲジが一匹いる程度であれば、過度に心配する必要はありません。
ゲジゲジの外見は不快感を与えることが多いですが、実際にはゴキブリなどの害虫を捕食し、私たちにとって有益な存在です。つまり、彼らがいることで家庭内の他の害虫を自然に駆除してくれる可能性があります。
もし家にゲジゲジがいた場合は、無理に殺さずに外に放してあげましょう。
さらに、ゲジゲジが家に侵入しないようにするためには、以下のような対策が効果的です
●定期的に室内の害虫を駆除すること。
●家の外部からの侵入経路となる隙間を確実に塞ぐこと。
●床下など湿気の多い暗い場所をチェックし、適宜清掃すること。
頻繁にゲジゲジが見られる場合は、これらのポイントに特に注意し、必要に応じて床下の環境を改善することを検討してください。